ワークロードの分離は、コンピューティング リソースを最適に配分することに重点を置いた設計アプローチです。 ArcGIS は、マッピングや可視化、解析、フィールド モビリティーなど、さまざまな種類の機能を提供しています。 これらの各機能は、コンピューティング リソースに異なる影響を与えます。 そのため、リソースを適切に割り当てることで、システムのパフォーマンスと信頼性が向上し、最適に動作するようになります。 ArcGIS システムでは、通常、個別の ArcGIS Server サイトを使用してこれを実現します。
ArcGIS におけるワークロード分離の一般的なアプローチには、次のようなものがあります。
このパターンの代表的な実装の 1 つは、ホスティング サーバーに加えて 1 つ以上の ArcGIS Server サイトを追加で配置して、ホスティング、マッピングと可視化、解析といったワークロードを分離することです。 このアプローチは、大規模なジオプロセシング タスクを実行しても、組織のマップ サービスに干渉することがなく、他のユーザーの作業に影響を及ぼすリスクがないことを保証できるため、有益です。
一般に、この形式の分離の恩恵を受ける可能性のあるワークロードは次のとおりです。
ワークロードを分離するための選択肢以外に、ArcGIS は、それぞれの機能に対しサーバー ロールを通じてワークロードの分離を標準機能として提供しています。 これらのサーバー ロールを ArcGIS Enterprise の基本配置に結合して、その機能を拡張できます。 詳細については、「ArcGIS Enterprise サーバー ロール」をご参照ください。
すべてのシステム コンポーネントの主要な指標は、一貫して測定および監視することで特定されます。 これは、リソースが最適なレベルで機能することを保証するためには重要です。 効果的な監視ツールと手法により、コンポーネント使用率の増大を積極的に特定でき、その結果、システム使用率の増大を積極的に特定して、ワークロードの分離方法を変更したり増やしたりする方法について十分な情報に基づいた選択を行うことができます。 それにより、ArcGIS システムは、高性能かつ高い信頼性で動作し続けます。 「IT インフラストラクチャーの監視」をご参照ください。
ワークロードの分離を適切に実装すると、ArcGIS のシステム パフォーマンスが向上し、リスクが軽減され、信頼性が向上します。 このためには、追加のインフラストラクチャーおよびスタッフのコストと、パフォーマンスの低い (または利用できない) ビジネスクリティカルなアプリケーションまたはシステムがビジネスに悪影響を与える場合に資本コストと運用コストを含む発生コストとの均衡を図るために、重要な決定を下す必要があります。
IT チームは、すべてのミッションクリティカルなエンタープライズ システムのパフォーマンスを最大化し、リスクを軽減し、サービスレベル契約 (SLA) を満たすという課題に直面しています。 さまざまな IT 機能を戦略的に分離することで、ミッションクリティカルなアプリケーションを支援するために必要なリソースを高度なプロセスが消費するリスクを軽減できます。 さらに、要求の異常な急増によってすべてのユーザーのサービスが中断される可能性を減らせます。
ロード バランサーを介してユーザーの要求を適切な ArcGIS Server サイトに転送することで、サービス中断のリスクを軽減できます。 「ArcGIS Server を使用したリバース プロキシー サーバーの構成」をご参照ください。 これにより、過負荷状態のコンピューターが他のコンピューターに影響を及ぼすのを防ぐことでシステムの安定性が向上し、結果として、重要なタスクがリソース競合から保護されます。