モバイル操作およびオフライン データ管理システムのデプロイメントパターンの選択

モバイル操作およびオフライン データ管理システムは通常、次の 3 つのデプロイメント パターンのいずれかを使用してデプロイされます。

デプロイメント パターンの選択は、組織の GIS システムを設計する際の最も重要な決定事項の 1 つです。

この決定では、さまざまなデプロイメント アプローチをサポートするにあたって、組織の IT 方針、ガイドライン、および許容度と一致させることが最重要事項となります。 たとえば、SaaS ベースのシステムとソリューションで標準化することを好む組織もあります。 また、Kubernetes の運用経験とスキルを持つスタッフの採用やトレーニングなど、Kubernetes ベースのデプロイメントに多額の投資を行っている組織は、おそらく Kubernetes ベースのデプロイメント パターンを好みます。

注意:

機能と検討事項は、デプロイメント パターンによって異なります。 詳細については、以下の比較とデプロイメント パターンのページを確認してください。

これらのデプロイメント アプローチに関する一般的な情報と考慮事項については、ArcGIS の概要の「ArcGIS 製品とデプロイメント オプション」ページをご参照ください。

機能の比較

IT 方針、ガイドライン、および許容度に一致させるだけでなく、意思決定プロセスにおいて各デプロイメント パターンの機能を考慮することも重要です。 モバイル操作およびオフライン データ管理システムの機能は、デプロイメント パターンによって異なります。 次の表は、各デプロイメント パターンでサポートされている特定の機能を比較したものです。

モバイル操作およびオフライン データ管理システムで使用される機能のうち、通常は他のシステムによって提供される機能 (ベースマップ、ジオコーディング、位置情報サービス システムによって提供されるその他の位置情報サービスなど) は、以下に示されていません。 関連するシステム パターンの詳細をご覧ください。

機能 SaaS Windows/Linux Kubernetes
マッピングと視覚化
オフライン データとマップ
ベースマップ
ジオコーディング
ルートとルート案内
作業の割り当てとディスパッチ
位置情報の共有
データ編集
データのインポートとエクスポート
データの相互運用性と変換1  
編集の追跡と監査
ショート トランザクション管理
ロング トランザクション管理   2 2
空間ルールと属性ルール   3 3
データの分散とレプリケーション
データの履歴管理と履歴  
高度なデータ検証    
ワークフローの管理と自動化 4 45
ホストされた Python ノートブック 6
パーセル管理   5
道路と高速道路   5
パイプライン参照   5
屋内 GIS7
屋内測位
その他の業界ソリューション8

フルサポート 一部サポート

  1. ArcGIS Data Interoperability for ArcGIS Pro はすべてのデプロイメント パターンでサポート 

  2. モバイル デバイスではなく、バック オフィス システムでサポート  2

  3. データがバック オフィス システムと同期された時点でルールを適用  2

  4. ArcGIS Workflow Manager Server が必要  2

  5. 一部の Windows/Linux インフラストラクチャーが必要  2 3 4

  6. ArcGIS Notebook Server が必要 

  7. 機能全体が複数のシステム パターンにまたがる 

  8. 一部の業界ソリューションは SaaS でのみ利用可能 

上記の各行の詳細については、モバイル操作およびオフライン データ管理システムの機能をご参照ください。 また、上記の各セルについては、モバイル操作およびオフライン データ管理システムのデプロイメント パターンに関するページに詳しく記載されています。

上記の機能は、2025 年 7 月時点で利用可能な機能を反映しています。

一般的な検討事項

以下の検討事項は、組織のビジネスと IT のニーズを適切なモバイル操作およびオフライン データ管理システムのデプロイメント パターンに合わせることを目的としています。 ここに示す情報は、すべてを網羅するものではなく、モバイル操作およびオフライン データ管理システムの主要な検討事項に焦点を当てています。

  • スケーラビリティー、信頼性、SLA (サービス レベル アグリーメント)、セキュリティー、組織と Esri 間の責任のバランスは、デプロイメント パターンの選択における主要な要因になる傾向があります。 詳細については、信頼性パフォーマンスとスケーラビリティー、およびセキュリティーの柱をご参照ください。
  • 中人数から大人数の編集者を擁する組織や、ロング トランザクション、競合の検出とリコンサイル、空間ルールと属性ルール、履歴管理、高度な監査、編集履歴のニーズを持つ組織は、Windows、Linux、または Kubernetes での ArcGIS Enterprise ベースのデプロイメントを好む傾向があります。 これら 2 つのデプロイメント パターンは、最も堅牢なデータ編集および管理機能を提供し、ワークフローとガバナンスのニーズに柔軟に対応できるようにします。
  • ArcGIS Online を使用した SaaS デプロイメント パターンでは、市場投入までの時間が最も短縮されます。
  • モバイル操作およびオフライン データ管理システムの高度な機能、専門的な機能、業界固有の機能の中には、一部のデプロイメント パターンにしか存在しないものもあります。 設計と意思決定のプロセスで機能の比較とデプロイメント パターンに関するページによく目を通し、十分に検討してください。
  • PaaS と ArcGIS Location Platform では現在、データとマップをオフラインで使用できないので、モバイル操作およびオフライン データ管理システムの PaaS デプロイメントは現時点でサポートされていません。 オフライン サポートを必要とせず、一貫性のあるネットワーク接続を利用できるモバイル ワークフローの場合は、他の ArcGIS システム パターンを探索してください。
  • モバイル操作およびオフライン データ管理システムは、位置情報サービス システムによって提供される位置情報サービスに大きく依存しています。 モバイル操作およびオフライン データ管理システムを設計する際には、位置情報サービス システムのデプロイメントを検討する必要があります。 また、オフラインでの使用を目的とした位置情報サービス (ベースマップ、ジオコーディング、ルート検索など) には、特別な検討事項が必要となることがあります。 オフライン マップオフライン データオフライン アプリケーション全般の詳細をご覧ください。

デプロイメント パターンの選択は、組織の GIS システムを設計する際の最も重要な決定事項の 1 つです。 しかし、決定事項はそれだけではありません。 システムの設計には、セキュリティー、信頼性、統合など、検討すべき要素が多数あります。 そのため、ここに記載されている情報がすべてを網羅しているとは見なさないでください。 ArcGIS Well-Architected Framework のアーキテクチャーの実践および製品ドキュメントを設計プロセスの一部として詳細に確認してください。

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