画像データ管理および解析システム
画像データ管理および解析システムは、画像、LIDAR、標高、多次元、方向付き画像、ビデオの大規模なコレクションをカタログ化し、2D と 3D のどちらのコンテキストでも任意の縮尺で提供できるように設計されています。 このシステムでは、Web サービスを介してアクセスし、視覚化、活用、解析に対応したリアルタイム処理を実行して、データ モデルのカタログ化、検索、読み込みを行ったり、企業のユース ケース向けに画像をレンダリングすることができます。 このシステムは、エンタープライズ組織のさまざまなニーズに使用できる情報を効率的に引き出し、ユーザーの現状に対応しながら、新しいクラウド機能の活用へと拡大していくビジョンを支援します。
画像データ管理および解析システム パターンは、次の方法で組織の事業価値を高めます。
- 組織の画像コレクションを企業資産として管理する。
- ユーザーが画像データの広範なカタログに直接アクセスして、検索、データ アクセス、視覚化を実行できるようにする。
- 自動化を使用して、ソース データ コレクション、出力データ、情報製品を定期的かつシームレスに更新する。
- リアリティー キャプチャー ワークフローをサポートし、包括的なリビング デジタル ツインの基盤を確立する。
- 機械学習や GeoAI などの事前構築済みの解析モデルをデータ ソースに適用し、Python ツールで拡張する。
- 画像データを使用して、フィーチャを抽出し、オブジェクトを検出し、画像をセグメント化し、コンピューター ビジョンを操作し、さまざまな詳細レベルでアセットのデータベースにデータを入力する。
- データの時間対応アーカイブを監視して、フィーチャ、地形、科学的計測値の変化を確認する。
- さまざまなプロバイダーから地域規模または世界規模で取得した多様なデータセットに対して、カスタマイズした対話形式の動的な解析を可能にする。
- 地理コンテキストでビデオ アセットをカタログ化、管理、ストリーミングして、履歴の確認、セキュリティー操作、計測、活用を実行する。
- AWS Open Data や Microsoft Planetary Computer [https://planetarycomputer.microsoft.com/] といったオープンデータ ソースなど、さまざまなプロバイダー、センサー、プラットフォーム、形式、モダリティーのデータを組み込み、アクセスし、操作する。
ArcGIS システム パターンを初めて使用する場合は、まずイントロダクションを確認してください。
ユーザー ペルソナとワークフロー
画像データ管理を最もよく操作するユーザー ペルソナと、このシステムを使用して通常実行するワークフローとタスクの種類を次に示します。
- 画像アセット マネージャー。 画像アセット マネージャーは、組織内で作成された、あるいはパートナーまたはコンテンツ プロバイダーから取得された大規模で増加する画像カタログを操作します。マネージャーは通常、画像プロダクト、消費パターン、データに関する検討事項について幅広い経験を有しています。
- 画像サイエンティスト。 画像サイエンティストは、ピクセル、点群、3D メッシュなどの画像データを直接操作し、通常は製品の未完成バージョンにもっと直接的にアクセスすることに関心を持っています。 新しいレンダリング アルゴリズムや解析アルゴリズムを開発したり、データ モデルの設計を支援したりすることがあります。また、これらのデータセットを操作する他のロールを支援します。
- データ アナリスト、データ サイエンティスト、データ エンジニア。 データ サイエンティストは、解析のために画像データを操作します。多くの場合、専門のサイエンス パッケージからアクセスするか、ノートブック形式の解析ツールを使用してアクセスします。 通常、カタログや検索インターフェイスを通じて画像にアクセスし、Web サービスを操作するだけでなく、オブジェクト ストレージ内のデータを直接操作します。
- GIS アナリストおよび GIS 専門家。 GIS 専門家は、イメージ サービス、3D メッシュ、またはシーンを使用し、そのデータと、外部プロバイダーや他の ArcGIS システムから取得した他のベクターベースの地理空間データを組み合わせて、画像データ管理および解析システムを操作する傾向があります。 マップ製品やアプリケーションを作成して公開したり、データを使用して他の地理空間解析をサポートしたりすることがあります。
- 一般ユーザー。 画像データ システムの一般ユーザー (一般消費者を含む) は通常、明確に定義された完成形のベースマップスタイルのサービスを操作しますが、ラスター関数テンプレートや専用の表示アプリケーションを使用して、解析操作を提供するイメージ サービスを操作することもできます。
- ドローン オペレーター。 ドローン オペレーターは、ドローン フライトの生データまたは前処理済みデータが取得されると、画像データ管理および解析システムに入力します。 また、ドローン オペレーターは、システム内のデータを操作して、カバレッジのギャップを把握したり、新しいフライトをタスク処理したり、他のデータ カバレッジに基づいてミッションを計画したりすることもできます。
Esri では、画像データ管理、リアリティー マッピング、解析と AI、視覚化、活用、コンテンツに関連する詳細なガイドとチュートリアルなど、画像ワークフローの広範なライブラリーを維持しています。 この Web サイトには、技術リソース、サンプル ワークフロー、追加のラーニング パスもあります。
アプリケーション
ArcGIS には多くのアプリケーションとエクスペリエンスが用意されており、その多くは画像データ管理および解析システムの一部としてデプロイされ、利用することができます。 上記のペルソナがこのシステムを操作し、ワークフローを実行するために最もよく使用するアプリケーションを次に示します。
- ポータル Web サイトは、ArcGIS システムへの一般的な Web インターフェイスであり、閲覧者、編集者、作成者、専門家、管理者のさまざまなユース ケースをサポートしています。 画像データ管理および解析システムでは、ポータル Web サイトは通常、検出ポータルおよびコラボレーション ポータルとして機能するだけでなく、一部のユーザー向けの表示および解析機能としての役割も果たします。 また、データ所有者と管理者がデータ管理の目的でよく使用します。
- ポータル Web サイトの一部である Map Viewer アプリケーションと Scene Viewer アプリケーションは、ラスター関数テンプレートの作成、新しいイメージ サービス出力の生成、解析プロセスの実行、画像処理結果の確認など、画像データ管理および解析システムの主要なワークフローで使用されます。
- ArcGIS Excalibur は、画像に基づいて地理空間インテリジェンス プロダクトを作成するための画像およびビデオ活用アプリです。 ArcGIS Excalibur は、これをデプロイした環境のイメージ サービスやその他の機能と連携して動作する Web アプリケーションとして ArcGIS Enterprise で使用できます。
- Python Notebook は、画像データ管理および解析システムの操作に使用するもう 1 つの一般的なアプリケーション インターフェイスです。 ノートブックへのアクセス方法は数多くありますが、ArcGIS では ArcGIS Pro、ArcGIS Online (または ArcGIS Enterprise) のいずれでも提供されます。 ノートブックでは、Python または別の言語を使用して対話的にコードを作成できます。ArcGIS SDK を使用すると、画像データにすばやくアクセスし、ノートブックがアクセスと実行の主な手段となっているディープ ラーニング モデルと機械学習モデルを表示、解析および処理、操作することができます。
- ArcGIS Field Maps は、Android、iOS、watchOS、および Windows デバイスで利用できるオールインワンのモバイル アプリケーションです。 データ編集および管理システムでは、ArcGIS Field Maps を使用してマップ中心のデータを収集するのが一般的です。こうしたデータ収集は、通常現場で実施され、ネットワーク接続がある場合とない場合があります。 画像データは、Field Maps で主要な背景情報を提供するために使用されますが、タイル イメージ レイヤーとして公開された場合には、オフラインでも使用できます。 オフライン (非接続) データ収集については、モバイル操作およびオフライン データ管理パターンの統合とサポートに関する検討事項をご参照ください。
- ArcGIS Experience Builder は、Web アプリケーションの作成に使用される構成可能なコード不要のアプリケーション ビルダーです。 画像データ管理および解析システムでは、ArcGIS Experience Builder を使用して、専用の表示および画像データ操作 Web アプリケーションを作成するのが一般的です。
- ArcGIS Pro は、さまざまなデータ形式の表示、ジオプロセシング、データ モデルの準備など、GIS 専門家が多種多様なユース ケースで使用するデスクトップ アプリケーションです。 ArcGIS Pro は、非常に柔軟かつ豊富な機能を使用して画像データを操作することができ、通常は GIS 専門家とその他の役割を持つ専門家が使用します。 ArcGIS Pro の 3D Analyst、Image Analyst、および ArcGIS Reality エクステンションは、このアプリケーションに必要不可欠な機能、ツール、およびワークフローを提供します。 また、ArcGIS Pro は、データの管理、データ モデルの作成、ラスター関数の作成を目的として、これらのペルソナがよく使用します。
- Deep Learning Studio は、ディープ ラーニング画像解析ワークフローのためにプロジェクトベースの環境を提供する Web アプリです。 ユーザーは共同作業でディープ ラーニング モデルをトレーニングし、管理している画像に対して大規模な推論を実行できます。
- ArcGIS Reality は、ArcGIS Reality for ArcGIS Pro、ArcGIS Reality Studio、Drone2Map、Site Scan for ArcGIS を含む製品ファミリーであり、ドローン、固定翼航空機、衛星で取得されたデータからデジタル画像プロダクトを処理するワークフローをサポートしています。 これらのツールは、ArcGIS Pro だけでなく、ArcGIS Reality Studio、ArcGIS Flight などのモバイル アプリ、ArcGIS Online、Site Scan for ArcGIS、ArcGIS Enterprise による Web ベースのエクスペリエンスでも使用できます。
- ArcGIS マッピング API および SDK を使用して構築されたカスタム アプリケーションは、画像、サービス、データセットを操作して、特定のワークフローを有効にしたり、解析操作やサマリー操作をサポートしたりするためによく使用されます。
- また、他のほとんどの ArcGIS アプリケーションは、ポップアップ、ダイナミック レンダリング、その他の一般的なイメージ レイヤー ワークフローなど、イメージ レイヤーが Web マップまたはシーン内に構成されている場合に、そのイメージ レイヤーを操作できます。
ArcGIS が提供するすべてのアプリケーションの詳細については、ArcGIS の概要のアプリケーション アーキテクチャーをご参照ください。
機能
画像データ管理および解析システムに備わっている主な機能を以下で紹介します。これらの機能には、一般的な機能と、業界固有またはワークフロー固有の機能およびソリューションの両方があります。 画像データ管理ワークフローで使用される機能のうち、通常は他のシステムによって提供される機能 (ベースマップ、ジオコーディング、位置情報サービス システムによって提供されるその他の位置情報サービスなど) は、以下に示されていません。
次に示されたすべての機能をすべてのデプロイメント パターンで使用できるわけではありません。 これらの機能がさまざまなデプロイメント コンテキストでどのように適用されるか (または適用されないか) の詳細については、デプロイメント パターンの選択とデプロイメント パターンに関するページをご参照ください。
一般的な機能
- 画像の視覚化と解析では、ユーザーは、動的な画像オーバーレイを通じて、過去の画像のコレクションをナビゲートすることで、アプリケーション内のベースマップとして画像データを操作したり、最新のドローン フライトに基づいて観測データを収集したりできます。 調整、ストレッチ、バンド割り当ての変更を動的に行って画像を強化します。 画像のレンダリングは、リクエストされた対象エリアを表示し、画面移動やズームを行うたびにレンダリング ルールを再適用するように最適化されています。 ジオプロセシング ツール、アルゴリズム、および関数を使用して、画像データの解析、土地利用の評価、活動と変化の監視、被害の計測、環境要因の評価を行います。
- データのモデリングと構造化では、モザイク データセットと LAS データセット、ラスター プロダクトとセンサー モデル、方向付き画像カタログ、その他の業界固有モデルまたはユース ケース固有モデル (軌道データなど) といった一般的なデータ モデルに大規模なデータ セットを追加するための標準化されたアプローチが確立されます。 カタログ データセットを作成し、ローカル ストレージまたはネットワークに接続されたストレージ内のアセットのカタログ レイヤーを操作するか、ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise 組織からアイテムとサービスを追加します。 これらのモデルは、詳細なデータセットを整理し、メタデータを提供して使用できるようにするのに役立ちます。
- 画像データの公開では、すべてのタイプのユーザーが画像やその他のリモート センシング データ ソースのコレクションを作成およびホストできます。 画像コレクションと画像プロダクトをダイナミック サービスまたはタイル サービスとして地域規模または世界規模で公開し、Web、モバイル、およびデスクトップ アプリケーションを使用して視覚化および操作できます。
- カタログ レイヤーは、さまざまな作業環境を越えるローカルおよび共有のデータセット、レイヤー、サービス、ワークスペースへの参照のコレクションで、さまざまな画像データ タイプへの参照を含めることができます。 データセットにアイテムとして分類および追加されるこれらの参照は、マップおよびシーン内で動的に可視化、フィルター、クエリーができます。 カタログ レイヤー はカタログ データセット に基づいており、画像データの分散したコレクションを視覚化して操作するのに役立ちます。
- タイル イメージ レイヤー ホスティングでは、動的なクライアント側レンダリングなどの標準的なタイル視覚化方法を使用して、フル ビット深度のピクセル データに高速アクセスできます。 タイム スライスを使用して多次元レイヤーを作成し、時間の経過に伴う変化を確認しながら、小縮尺による低解像度レンダリングで複数のピクセル バンドにアクセスします。
- リアルタイム ラスター解析では、ラスター関数を使用し、これらの関数を組み合わせてラスター関数テンプレートを作成することで、すばやくバンドを結合し、画像を比較し、画像のコレクションから値を解析して、動的な出力画像を生成します。 ラスター関数はリクエスト時に適用され、リクエストされたピクセル領域にのみ適用されるため、データセット全体を再処理せずに画像を動的にレンダリングする方法として効率的です。
- 標高解析には、等高線を生成する機能、水文解析モデルを実行する機能、集水域を表示および定義する機能、詳細なデータセットのテレイン、傾斜角、および傾斜方向のレンダリングを表示する機能があります。 3D サーフェスおよびデータセットの切断と充填または比較によって体積解析を実行します。 さまざまなソースから取得した標高を異なる解像度で組み合わせ、直接表示するために使用したり、都市または地方の 3D レンダリングの基礎として使用したりできるシームレスな標高サービスを準備します。 Esri では、視覚化リクエストや解析リクエストに対応するための、すぐに使用できる標高サービスも提供しています。
- 分散ラスター解析ジョブを作成すると、分散コンピューティング モデル内に保有されている大量の画像に対してラスター関数の計算を実行できます。 この操作には、トレーニング済みのディープ ラーニング モデルを使用して推論する操作や、定義済みのレンダラーまたは計算に基づいて新しい出力データ プロダクトを作成する操作が含まれることもあります。 ラスター解析ジョブのデータは、ArcGIS Enterprise の画像ホスティング機能を通じて保持されます。
- 画像抽出機能では、ソース画像データとモザイク処理された画像データを動的に、かつプログラムによってエクスポートおよびダウンロードし、他のアプリケーションで使用するか、ディープ ラーニング ワークフローの画像チップとして使用することができます。 抽出では、ソース ピクセルに直接アクセスしたり、リクエストされた範囲に対して特定の解像度でリサンプリングされた新しい画像を作成したりできます。 ArcGIS では、衛星画像ベースマップのエリアを抽出し、データ アクセスに非接続の環境および編集ワークフローでのオフライン使用を可能にすることもできます。
- ディープ ラーニングと GeoAI は、ArcGIS および画像データ管理および解析システム全体に組み込まれています。 ユーザーは、画像アセットやローカル計算リソースを使用してディープ ラーニング モデルで推論をトレーニングおよび実行したり、クラウド リソースやクラウド サービスなどの大規模なシステム間でスケーリングしたりできます。 ArcGIS Living Atlas には、事前トレーニング済みの モデル のギャラリーも用意されており、これらのモデルは、直接使用するか、組織の特定のワークフロー、データ、またはジオグラフィーに合わせて調整することができます。
- 多次元データと n 次元配列は、NetCDF、GRIB、HDF、Zarr などの標準的な指数形式を使用して探索できます。 これらのデータでは、時間の経過に伴う変化や、さまざまな大気の高度または深度での計測値などの変数が表示されます。 ArcGIS Pro と ArcGIS Map Viewer には、タイム スライスの表示、複雑な多変量シンボルの構築と表示、使用可能な変数の特定、独自の新しい計算の作成、データセットの時間範囲外の変数の予測をすばやく実行できる専用のユーザー インターフェイスが用意されています。 多次元データセットをイメージ サービスとして公開して、他のアプリケーションやワークフローからアクセスできるようにすることもできます。
- 画像空間で作業し、画像計測タスクを実行して、センサーからキャプチャーされた画像を従来のオルソビューやステレオ表示とともに視覚化します。 画像空間解析を使用すると、フィーチャを収集したり、リサンプリングせずに詳細を表示したり、歪みが生じないようにすることもできます。
- ステレオ表示機能を使用して、2.5 D で画像を視覚化し、画像計測タスクを実行し、高精度で 3D オブジェクトの可能性のあるフィーチャを手動でデジタイズおよび抽出します。 写真測量ワークフローでよく使用されるステレオ編集は、主に ArcGIS Pro で使用できます。
業界固有の機能とソリューション
- 斜め、バブルまたは球面画像、360 度パノラマ、道路側、検査画像など、さまざまなタイプの方向付き画像を操作します。 これらのデータセットは従来の直下画像ではありませんが、セキュリティー調査、資産検査、データ収集などのワークフローを通じて、組織に大きな価値をもたらすことがあります。 ArcGIS の方向付き画像機能には、構造化データ モデル、専用のビューアー アプリケーションだけでなく、さまざまなアプリケーションで方向付き画像を提供したり操作したりするためのサポートも含まれています。
- さまざまな Web、デスクトップ、モバイル アプリおよびツールを使用して、フリート管理から特定のミッション計画や現場でのデータ処理に至るまで、ドローン操作を実行できます。 ArcGIS Dashboards を使用すると、収集の進行状況を監視したり、運用上の問題を特定したり、データ処理チームとデータ品質チームへのレポートを管理したりすることができます。
- リアリティー マッピングには、忠実度の高いプロダクト生成に適した、広範なオルソ マッピング機能が組み込まれています。 ドローンとその他の航空写真を使用して、最大解像度のデジタル サーフェス モデル、トゥルー オルソ、方向付き画像カタログ、2D サーフェス メッシュ、密集 3D 点群、写実的な 3D メッシュを作成します。 リアリティー マッピング機能は、Web、デスクトップ、およびサーバーベースの処理パターンで使用できます。
- ArcGIS では、地理空間コンテキストと時系列コンテキストがあるサービスとして、ビデオのインデックス作成、検索、公開、ストリーミングを実行できます。 ドローン、監視カメラ、センサー、携帯型デバイス、その他のモーション イメージ ソースなどのソースからビデオ コンテンツを共有し、既存の GIS ワークフロー、情報プロダクト、関係者向けブリーフィングに、ビデオを別の空間データ ソースとしてシームレスに統合します。
- さまざまなデータ形式を含む LIDAR データセットを管理、視覚化、解析します。これにより、サーフェスの状態を把握したり、さまざまな強度レベルとリターン ポイントのレイヤーを特定したり、フィーチャを抽出したりできるほか、点群を分類したり、写実的な色付けを操作したり、派生プロダクトを作成したりすることもできます。 LAS データセットを使用して、大量の LIDAR ファイルを連続した 1 つのレイヤーとして管理します。
- SAR センサーとプラットフォームから画像のコレクションにアクセスすることで、合成開口レーダーを操作します。 ArcGIS には、このような独自で強力なデータ タイプをサポートする SAR 固有のラスター タイプ、ラスター関数、および視覚化アプローチが含まれています。
- STAC (Spatio-temporal Asset Catalogs) を操作して、画像の既存のカタログに接続し、レコードを検索、フィルター、解析して、プロジェクトに適したデータを特定します。 ArcGIS Pro の STAC 接続および検索操作、
arcpy
Python モジュール、ArcGIS API for Python を使用して、パブリックおよびプライベートの STAC カタログを検索し、クラウド データ接続を通じてアセットに直接アクセスします。 追加のツールとワークフローを使用して、モザイク データセットなどの既存の画像データ モデルから STAC コレクションとアイテムを作成し、明確に定義された属性、プロパティ、メタデータに基づいて構築します。
コンテンツ
画像データ管理および解析システムを使用すると、組織は、Esri と Esri パートナーが管理するすぐに使用できるコンテンツにアクセスすることができます。これには、以下のコンテンツが含まれます:
- ArcGIS Living Atlas of the World。 ArcGIS Living Atlas では、Landsat、Sentinel、NAIP、NOAA などの信頼できるソースからすぐに使用できる画像が取得されます。 このコレクションには、トゥルー カラー、フォルス カラー、マルチスペクトル、複数の時系列画像のオプションがあります。 また、最新の衛星画像と高解像度の航空写真から構築されたグローバル ベースマップも用意されています。 これにより、組織はすぐに適用できるさまざまな画像にアクセスできます。
- プレミアム画像コンテンツ。 Esri は、主要な衛星画像および航空写真プロバイダー (Airbus、BlackSky、Maxar、Nearmap、Planet、Vexcel など) と提携して、ArcGIS でデータを配信しています。 ユーザーは、既存のコレクションからプレミアム画像を取得するか、画像取得セッションをタスク処理して、データを ArcGIS に直接配信することができます。 これで、顧客は簡単に新しい画像を取得し、すでに収集済みのデータにアクセスできるようになります。 ArcGIS Marketplace には、Esri パートナーから購入できる専用の画像データ コンテンツも用意されています。
- 外部ライブラリーとカタログ Esri ユーザーは、Microsoft Planetary Computer、Carbon Mapper データ プラットフォーム、地球観測用の NASA EarthData プラットフォームなど、互換性のあるデータ カタログとデータ ライブラリーに接続して、さまざまな種類のミッションとセンサーにあるオープン サイエンス データセットにアクセスすることもできます。 これらのソースを使用すると、数十年前の履歴記録にアクセスし、クラウド最適化形式やオープンまたはリクエスト元による支払いアクセス方法を通じてデータに直接アクセスすることができます。
このシステムのユーザーは、このコンテンツをさまざまな方法で操作できます。たとえば、このコンテンツを視覚化に使用したり、解析で入力として使用したり、独自のデータと組み合わせて新しい製品やエクスペリエンスを生み出したりすることができます。
アーキテクチャーに関する検討事項
画像データ管理および解析システムに固有の検討事項を以下に説明します。 一般的な統合とサポートに関する検討事項の詳細については、ArcGIS アーキテクチャーをご参照ください。
- 画像データ管理および解析システムは、画像データの保存方法 (と保存場所) に関する決定に大きく依存します。 ほとんどのクライアントは、Web サービスを介して画像にアクセスするか、クラウド最適化データとして直接画像にアクセスします。そのため、クライアントが分散していても中央集約型のストレージ戦略が可能になります。 どのような画像データ管理および解析システムでも、計算および画像レンダリングを画像データにできるだけ「近い」場所 (ネットワーク近接性の観点から) に配置することは、迅速なレンダリングを実現し、データ出力コストを最小限に抑えながらクライアントのエクスペリエンスを高める上で重要です。 ローカル デスクトップからクラウドベースの画像にアクセスすることも技術的には可能ですが、ダイナミック イメージ サービスを使用すると、ほとんどの場合は、より優れた応答性の高いユーザー エクスペリエンスが実現されます。
- また、画像データ ソースの形式と、組織が現在管理している、または今後管理する予定である画像データの量も関連しています。 画像データ ファイルの形式は、レンダリングのパフォーマンスとディスク上のデータのサイズに大きく影響し、結果的にストレージ コストにも影響が及びます。 場合によっては、圧縮率を上げると、ストレージ コストは節約できるが、画像にアクセスする際のパフォーマンスが下がるという逆のトレードオフが発生することもあります。このバランスを慎重に評価し、システム要件に基づいて決定する必要があります。 データの量、および新しいコレクションの追加に伴う将来的なデータの増加もまた、このシステムの設計方法および配置場所の決定や、さまざまな目的で複数のシステムを使用するアプローチを採用するかどうかの決定を導く別の要因です。
- ラスター解析操作やディープ ラーニング推論などの大規模な画像解析ジョブを実行するには、計算リソース、解析アプローチ、分散計算を慎重に計画する必要があります。 ArcGIS ラスター解析技術は、計算ノード間でのジョブの分散に役立ちますが、解析プロセスは、実装する前に十分に計画、テスト、把握しておく必要があります。
アーキテクチャーに関する詳細な検討事項については、デプロイメント パターンの選択をご参照ください。
例
このシステム パターンにおける業界固有のシステムとして、次のような例があります。
- 自然保護。 自然保護団体は、土地や建物を保守、保護、管理する責を担っています。 画像データ管理および解析システム パターンは、自然保護団体全体の関係者への画像の配布をサポートします。 National Trust は、ArcGIS Image for ArcGIS Online を使用して、ブラウザーの Web アプリ経由で組織内の非 GIS ユーザーと画像を共有することで、ドキュメントやマップを手動で生成する必要性を減らしました。
- 交通。 州の交通機関は通常、大量の画像アセットを保有しています。これらのアセットは、画像データ管理および解析システムを利用しなければ価値が限定されてしまいます。 たとえば、UDOT は、このシステム パターンを使用して、州が所有している土地の公道用地資産を管理できるようにしました。
- 公益事業。New Jersey American Water は、このシステム パターンを使用して無人航空機システム (UAS) プログラムをサポートしている組織の一例です。 UAS プログラムは、検査、災害対応、セキュリティーに対応しているベースマップ、3D マップ、地形図を生成します。 ArcGIS Image Server は、公益事業内の他の GIS マップにベースマップを提供します。
- 天然資源 Esri のスタートアップ パートナーである Pollen Systems は、画像データ管理および解析システム パターンを使用して、ブドウ園、果樹園、苗床に関する意思決定を改善しています。 ArcGIS Enterprise と ArcGIS Image Server を使用することで、Pollen Systems は、さまざまなセンサー、ソース、および期間の重なり合う多重解像度の画像とラスター データの大規模なコレクションを配布できます。
- 商用衛星画像および航空画像組織 画像データ管理および解析システム パターンは、顧客にサービスを提供する商用衛星画像および航空写真組織を支援します。 このシステム パターンでは、ドローンや衛星画像を処理し、結果を継続的なカバレッジ サービス、地域サービス、またはエンドカスタマー ユーザーに提供できる顧客固有のサービスのいずれかと組み合わせることができます。 たとえば、Skytec は ArcGIS Image for ArcGIS Online を使用して、土地保全のための UAS 作業をサポートしています。