セルフサービスのマッピング、解析、共有システム

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムは、データ、マップ、アプリケーションをセルフサービスで作成、共有、使用するための Web 中心のサービスベースのシステムです。 このシステム パターンを活用すると、個人とチームは、専門技術や GIS の知識が豊富でなくても、地理空間コンテンツを作成、共有、使用できます。 また、このシステム パターンは、セルフサービスの空間解析もサポートしています。 Web 中心ですが、ユーザーは Web アプリケーションだけでなく、モバイル アプリケーションや ArcGIS Pro (デスクトップ アプリケーション) を使用して操作することもできます。 このパターンは多くの場合、ArcGIS を組織に導入する方法となり、企業のエンゲージメント センターとクリエイティブ エンジンの両方の役割を果たします。

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システム パターンは、次のようなさまざまな特性を通じて組織に価値をもたらします。

  • 技術系および非技術系のユーザーが信頼性のあるデータやマップにアクセスできるようにするほか、ユーザー独自のデータをシステムに取り込んで独自のマップやアプリケーションを構築し、同僚と共有できるようにすることで、組織の地理空間データを有効活用できるようにします。
  • コンテンツ作成を誰もが行えるようにすることで、ビジネス ユーザーやチームは、GIS や IT チームに負担をかけずに自分たちのニーズに対応できるようになります。
  • GIS および IT チームが、エンタープライズ ポートフォリオに沿った方法でアクセスと使用を管理できるようにします。

ArcGIS システム パターンを初めて使用する場合は、まずイントロダクションを確認してください。

ユーザー ペルソナとワークフロー

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムと最もよくやり取りするユーザー ペルソナと、このシステムを使用して通常実行するワークフローおよびタスクの種類には、次のようなものがあります。

  • 一般ユーザー。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムの目的は、データ、マップ、およびアプリケーションを組織全体の一般ユーザーが利用できるようにすることです。 これらのユーザーは通常、システム内で「閲覧者」と見なされ、主に組織内の他のユーザーが作成したコンテンツを見つけて使用します。
  • コンテンツ作成者。 コンテンツ作成者は、データの公開、マップの作成、アプリケーションの作成など、一般ユーザーの作業範囲を超えています。 場合によっては、コンテンツ作成者はソース データ ストアに直接アクセスできますが、データをシステムに直接公開する (そして ArcGIS にデータを管理させる) 権限も与えられていることがあります。 コンテンツ作成者は通常、ノーコードまたはローコードのアプローチを使用し、構成することでアプリケーションを作成します。 また、コンテンツ作成者は、組織のガバナンスおよび関連するシステム コントロールで許される範囲で、データ、マップ、およびアプリケーションを組織内の他のユーザーと共有します。
  • アプリケーション開発者。 アプリケーション開発者は、コンテンツ作成者と似ていますが、主に、マッピング API と SDK を使用したコード記述してアプリケーションを作成することに重点を置いています。
  • データ アナリスト、データ サイエンティスト、データ エンジニア。 データ アナリスト、データ サイエンティスト、エンジニアは、データの操作と準備に加え、解析ルーチンを設計開発し、実行します。 このユーザー ペルソナの作業は、通常は反復的な作業であり、多くの場合、解析結果の説明および他の関係者との共有も行います。 これらのユーザー ペルソナは通常、ArcGIS Notebook やスタンドアロンの Python スクリプトを使用して、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムを操作します。 さらに、ビッグ データ解析システムを操作する場合、これらのユーザー ペルソナは、このシステムを使用して、ビッグ データ解析の結果を組織内の他のユーザーと共有できます。
  • ビジネス アナリスト。 ビジネス アナリストは、データ主導の解析を通じて、組織の効率を向上させ、ビジネス関連の課題や機会に対処することを目指しています。 ビジネス アナリストは、主に対話型の探索的解析ユーザー インターフェイスを使用する傾向があります。それに対し、データ サイエンティストはスクリプト言語の使用を好む傾向があります。 ビジネス アナリストは通常、一般ユーザー、コンテンツ作成者、データ サイエンティストと同様の方法で、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムを操作します。ただし、このペルソナは、位置解析をオープンデータ サイエンスおよびビジネス インテリジェンス ワークフローと統合する解析ソフトウェアである ArcGIS Insights とも連携できます。
  • GIS アナリスト。 GIS アナリストは、主に空間解析に重点を置いており、より高度な空間解析ツールおよび手法をよく使用します。 GIS アナリストは通常、データ アナリストやビジネス アナリストと同様の方法で、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムを操作します。ただし、このペルソナは、システムのポータル Web サイトを通じて利用できる空間解析ツール、Web ツール、ArcGIS Pro で利用可能なジオプロセシング ツールおよび Python スクリプトを多用する可能性があります。
  • データ所有者。 データ所有者は、このシステムに公開されホストされているデータセットに対して責任を負います。 通常は、設計、監視、および管理の責任があります。 コンテンツ作成者は、ArcGIS で管理されるデータを公開およびホストするときに、この役割を果たすことがよくあります。 ユーザー管理のデータ ストア (データベースなど) のデータの所有者は、これらのソース データ ストアで直接データを操作するため、通常はコンテンツ作成者の役割を担いません。
  • データ管理者。 データ管理者は通常、ユーザー管理のデータ ストアのデータの日々の管理を担当します。
  • GIS 専門家。 GIS 専門家は、GIS の科学と技術の両方を理解しており、組織内の高度な地理空間ワークフローの多くを担うことが一般的です。 これらのワークフローには、マップのデジタイズ、データの編集とレビュー、地理空間モデリングの実行、解析の実行などが含まれますが、これらに限定されません。 GIS 専門家は、一般ユーザー、コンテンツ作成者、GIS アナリスト、データ管理者など、上記の複数のペルソナから作業を継承することもあります。 このシステム パターンを使用することで、組織内の GIS 専門家をつなぎ、支援することができます。 GIS 専門家は、このシステムでの作業に ArcGIS Pro を多用する傾向がありますが、多くの専門家は状況に応じて Web やモバイルの操作も活用します。

アプリケーション

ArcGIS には多数のアプリケーションとエクスペリエンスが用意されており、そのほとんどはセルフサービスのマッピング、解析、および共有システムの一部として使用できます。 上記のペルソナがセルフサービスのマッピング、解析、および共有システムを操作するために最もよく使用するアプリケーションについて、以下で説明します。

  • ポータル Web サイトは、ArcGIS システムへの一般的な Web インターフェイスであり、閲覧者、編集者、作成者、専門家、管理者のさまざまなユース ケースをサポートしています。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムでは、ポータル Web サイトは、多くのユーザーにとって、データやマップ、アプリケーションの検索、共同作業、表示、解析、共有するための目的地として機能します。 ポータル Web サイトは、コンテンツ作成者向けの主要な Web ベース アプリケーションでもあります。
  • アプリケーション ビルダーは、Web アプリケーションを作成するためにコンテンツ作成者がよく使用します。作成されたアプリケーションは、このシステム パターンで一般ユーザーによって広く使用されます。 アプリケーション ビルダーには、ArcGIS Instant AppsArcGIS DashboardsArcGIS Story MapsArcGIS Experience Builder などがあります。
  • ArcGIS Hub および ArcGIS Enterprise Sites は、組織全体のユーザーに対してコンテンツを整理して配布するためによく使用される Web サイトに、アプリとコンテンツを統合します。 これらの Web サイトは簡単に作成できるため、組織のユーザーベースのさまざまなセグメントに合わせてカスタマイズされたデスティネーション体験が可能になります。
  • ArcGIS Solutions は、多くの業界向けに、すぐに使用できる構成可能なソリューションを提供します。 ArcGIS Solutions には、このシステム パターンでよく使用される業界向けのアプリケーションが含まれています。
  • ネイティブ モバイル アプリケーションは通常、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムに含まれ、現場でさまざまなワークフローをサポートします。 これらのアプリケーションには、Android、iOS、watchOS、Windows デバイスで利用できるオールインワンのモバイル アプリケーションである ArcGIS Field Maps のほか、ArcGIS NavigatorArcGIS WorkforceArcGIS QuickCapture などがあります。 位置情報の共有を有効にすることで、現場ユーザーの位置のトラックを共有することもできます。 これらのアプリケーションの多くは、ネットワーク接続の有無にかかわらず動作できますが、オフライン (非接続) ワークフローの詳細については、モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンをご参照ください。 関連するシステムパターンの詳細については、以下をご参照ください。
  • ArcGIS Survey123 は、Web デバイスおよびモバイル デバイス向けのフォーム中心のデータ収集ソリューションです。 ArcGIS Survey123 は、さまざまなユース ケースの Web 調査やモバイル調査を作成するため、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムでよく使用されます。
  • ArcGIS Microsoft 365 は、Microsoft Excel、Power BI、SharePoint、Teams などの使い慣れたビジネス生産性ツールに位置情報機能を提供します。 ArcGIS for Microsoft 365 には、ノーコードおよびローコードの自動化フローに空間機能を組み込むための Power Automate 用のコネクターも用意されています。
  • セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムでよく使用されるアナリスト主導のアプリケーションには、Python ベースの解析用の ArcGIS Notebook、ビジネス アナリストや GIS アナリストに人気のある対話型のアナリスト ユーザー エクスペリエンス用の ArcGIS Business Analyst (Web およびモバイル) や ArcGIS Insights などがあります。
  • 計画および設計ソリューションには対象を絞ったリッチ アプリケーションが含まれており、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムでよく使用されます。 スマート シティー計画のための ArcGIS Urban、プロジェクトの調整と実施を改善するための ArcGIS GeoBIM、高度な 3D 都市設計とモデリングのための ArcGIS CityEngine などがあります。
  • ArcGIS Earth は、地球上のイベントを計画、視覚化、評価するための無料の汎用対話型 3D エクスペリエンスです。 ArcGIS Earth は KML を強力にサポートしており、デスクトップ デバイスとモバイル デバイスの両方で使用できます。
  • ArcGIS AllSource は、軍や民間の情報機関、法執行機関、および民間部門で働くアナリスト向けに設計された、専用のデスクトップ解析ツールです。 ArcGIS All Source は、リンク解析、2D および 3D マップ、タイムライン、画像活用、グラフを使用して、データのパターン、傾向、関係を明らかにし、意思決定に情報を提供します。
  • ArcGIS Pro は、GIS 専門家がさまざまなユース ケースで使用するデスクトップ アプリケーションです。 ArcGIS Pro は通常、GIS 専門家や組織内で専門家の役割を持つ他のユーザーが、地理空間データの管理などの高度な地理空間作業を行うために使用します。
  • その他のアプリとしては、ArcGIS Maps for Adobe Creative CloudEsri RedistrictingArcGIS IndoorsArcGIS Workflow Manager などの製品やソリューションを通じて提供されるアプリ (ただし、これらに限定されません) があります。 詳細については、すべての ArcGIS 製品とアプリを記載した完全なリストをご参照ください。
  • マッピング API と SDK で構築されたカスタム アプリケーション。

ArcGIS が提供するすべてのアプリケーションの詳細については、ArcGIS の概要のアプリケーション アーキテクチャーをご参照ください。

機能

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムに備わっている主な機能について、一般的な機能と、業界固有の機能およびソリューションの両方を含め、以下で紹介します。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有ワークフローで使用される機能のうち、通常は他のシステムによって提供される機能 (ベースマップ、ジオコーディング、位置情報サービス システムによって提供されるその他の位置情報サービスなど) は、以下に示されていません。 関連するシステム パターンの詳細をご覧ください。

注意:

次に示されたすべての機能をすべてのデプロイメント パターンで使用できるわけではありません。 これらの機能がさまざまなデプロイメント コンテキストでどのように適用されるか (または適用されないか) の詳細については、デプロイメント パターンの選択とデプロイメント パターンに関するページをご参照ください。

一般的な機能

  • マッピングと視覚化を使用すると、ユーザーは 2D マップと 3D シーンを作成して操作できます。 これには、データ主導の視覚化3D 視覚化ベースマップのスタイル設定があります。 マップ視覚化の詳細をご覧ください。
  • アプリの構築により、コンテンツ作成者は、ノーコードまたはローコードのアプローチを使用して Web アプリケーションを作成できます。また、アプリケーション開発者は、Web アプリ、ネイティブ モバイルおよびデスクトップ アプリを開発できるほか、フルコード アプローチを使用して XR および没入型エクスペリエンスを開発できます。 ArcGIS BuilderArcGIS Mapping API および SDK の詳細をご参照ください。
  • サイト構築により、組織はノーコードまたはローコードのアプローチを使用してホスト Web サイトを作成できます。
  • 共有および共同作業により、組織内のユーザーは、データ、マップ、およびその他のコンテンツを組織内の他のユーザーと共有できます。 ArcGIS は、グループでの共同作業、組織内での広範な共有、および他の組織との共有を可能にする、強力で柔軟な共有モデルを提供します。
  • データの公開とホスティングは、コンテンツ作成者や組織内の他のユーザー ペルソナによって公開されたデータの安全な格納、管理、およびアクセスをサービスとして提供します。 公開されたデータを使用して、フィーチャ、ベクター タイル、マップ タイル サービスなど、さまざまなタイプのデータ サービスを作成できます。 データの公開とホスティングの詳細をご参照ください。
  • データ編集機能は、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムに備えられています。 このシステム パターンで使用されるデータ編集は通常、軽量の調査またはクラウドソーシング スタイル データの収集ワークフローです。 データ編集および管理システムの方が、ほとんどのデータ編集ワークフローを適切に適している傾向があります。
  • データのインポートとエクスポートでは、データを一括でインポートまたはエクスポートできます。 また、データのインポートに使用できるデータ パイプラインは、一部のデプロイメント パターン用のオプションです。
  • データの相互運用性と変換では、ArcGIS Data Interoperability に備わっているビジュアル プログラミング インターフェイスを使用して、数百のシステム間とアプリ間でデータを移動させることができます。 また、データ パイプラインは、一部のデプロイメント パターン用のオプションです。
  • データ配布とレプリケーションでは、管理者ユーザーは、レプリケーションとその他のメカニズムを使用してデータを配布できます。
  • ワークフローの管理と自動化では、ArcGIS Workflow Manager を使用して、チーム全体の作業の調整および自動化をサポートします。
  • 空間結合と空間リレーションシップを使用すると、2 つのデータセットの行を空間リレーションシップに基づいて結合できます。 インターセクト、イレース、ユニオン、アイデンティティー、シンメトリカル ディファレンスなど、さまざまな空間リレーションシップを適用できますが、機能は選択したデプロイメント パターンによって異なります。 データの組み合わせ空間リレーションシップ、および解析アプローチの主な違いについての詳細をご参照ください。
  • ネットワーク解析は、多数の目的地を訪問するための最適化されたルートの作成、最寄り施設の検索、ある場所の周囲にある到達圏の特定、複数の車両による複数の訪問先への配送など、複雑なネットワークの問題 (通常は道路ネットワーク) の解決に役立ちます。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムは、Web ベースのネットワーク解析ツールを提供し、ネットワーク解析サービスは、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムでホストされるか、位置情報サービス システムによって提供されます。
  • パターン解析は、データ内の空間的および時間的なパターンを特定します。 これには、ホットスポットの検索外れ値の検索などのツールが含まれます。 空間解析の詳細をご参照ください。
  • 近接解析では、空間データと他の空間データとの近接性を調べます。 ポイント クラスターの検索バッファーの作成などのツールがあります。 空間解析の詳細をご参照ください。
  • 集計解析は、データを上位のデータ構造に集約または集計します。 ポイントの集約密度の計算エリア内での集計などのツールがあります。 空間解析の詳細をご参照ください。
  • ジオメトリー解析は、クライアント側の API を使用して、ポイント、ポリライン、またはポリゴンに対して 1 つ以上の操作を実行し、ジオメトリーの問題を解決するプロセスです。 ジオメトリー解析のタイプには、空間リレーションシップ、幾何補正計算、計測操作、新しい空間参照へのデータの投影変換があります。 ジオメトリー解析と、ジオメトリー解析とフィーチャ解析を比較する方法の詳細をご参照ください。
  • 3D 視覚的解析は、シーン内に含まれるテレイン、建物、その他の 3D オブジェクトから得られる空間情報を計算して表示する空間解析の一種です。 3D 視覚解析のタイプには、可視領域、見通し線、3D 空間での計測などがあります。 3D 視覚解析の詳細をご参照ください。
  • グラフ解析とリンク解析は、エンティティーとリレーションシップをモデル化して、隠れたパターン、重要な人物、最短経路、場所、イベント、その他の知見を明らかにします。 グラフ解析およびリンク解析は、ArcGIS Knowledge を通じて空間解析と組み合わせて提供されます。
  • ホストされた Python ノートブックでは、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムを通じてホストおよび提供されている ArcGIS Notebook を使用して、Python ベースの解析、管理、自動化を組み込みます。
  • 高度な探索的解析により、あらゆるスキル レベルのアナリストが、データを直接接続して高度な解析を実行し、結果をサード パーティー システムに取り込めます。 高度な探索的解析は ArcGIS Insights を通じて提供され、オープンデータ サイエンスおよびビジネス インテリジェンスのワークフローと位置解析を統合することで、新たな知見を得ることができます。

業界固有の機能とソリューション

  • コミュニティーへの関与は、情報に基づく取り組みを通して、人、データ、ツールを体系化します。 コミュニティーへの関与は ArcGIS Hub によって強化されており、組織は内部および外部の関係者と連携して、進捗の追跡や成果の改善を行い、活気のあるコミュニティーを構築できます。
  • 屋内 GIS では、ArcGIS Indoors を使用して、ソース CAD、BIM、リアリティー キャプチャー データを組み合わせて 1 つの地理空間記録システムを作成します。 ArcGIS Indoors を使用すると、組織は屋内 GIS を構築し、屋内マッピング、ウェイファインディング、空間管理ソフトウェアの機能をすべてのユーザーに提供することができます。
  • プロダクション マッピングでは、ArcGIS Production Mapping を使用してデータとマップの制作を最適化します。 ArcGIS Production Mapping は、各国の民間マッピング機関および信頼できるコンテンツ制作者向けの、仕様主導型の地形図マッピング ソフトウェアです。 このエクステンションは、標準化、再現性、および構成を通じて、制作プロセスを最初から最後まで自動化するための専用ツールを提供します。 プロダクション マッピングは、データの編集と管理画像データ管理を含む、広範な機能を備えています。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムによって提供されるこの機能のサブセットには、高品質で高度なカートグラフィック プロダクションや、生成されたマップおよびデータの一般的使用などがあります。
  • ArcGIS Business Analyst を利用したマーケット インテリジェンスは、人口統計、ビジネス、ライフスタイル、支出、国勢調査のデータをマップベースの解析と組み合わせることで、市場計画、候補地選択、顧客セグメンテーションに関するよりスマートな意思決定を可能にします。
  • ArcGIS Urban を活用した Urban Planning and Design により、計画者と設計の専門家は、シナリオの計画と影響の評価をサポートする Web ベースの 3D アプリケーションを使用してチームで共同作業ができます。 ArcGIS Urban では、都市と地域の計画におけるデジタル変換を行い、コミュニティーの利害関係者とのコラボレーションを促進するとともに、すべてのグループがより持続性の高い未来に向かって取り組めるよう支援します。
  • プロジェクトの実施と調整により、建設・土木 (AEC) および運用チームは、リンクされたデータおよびドキュメントを構成可能な Web アプリで簡単に操作し、コミュニケーションとコラボレーションを単純化できます。 この機能は、ArcGIS GeoBIM によって実現され、チームが地理空間コンテキストで複数のシステムのデータを使用して BIM (Building Information Modeling) のプロジェクトと問題を探索し共同作業するための、革新的で使いやすい Web ベースのエクスペリエンスを提供します。 Esri および Autodesk の詳細をご参照ください。
  • その他の業界ソリューションは、ArcGIS Solutions が提供する、すぐにデプロイできる業界固有の ArcGIS 構成です。

アーキテクチャーに関する検討事項

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムは、ArcGIS を使用して構築されます。 このセクションでは、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムが ArcGIS アーキテクチャーの特定の側面とどのように連携し、どのような観点に焦点を当てているかを詳しく説明します。

アーキテクチャーに関する詳細な検討事項については、デプロイメント パターンの選択をご参照ください。

データ (永続性)

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムのデータ アーキテクチャーに関する検討事項

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムは、ファイル ストアとオブジェクト ストア、データベース、クラウド データ ウェアハウス、NoSQL ストアなど、ArcGIS がサポートするほぼすべてのタイプのデータおよびデータ ストアと連携します。 これらのソースのデータは、このシステムでは管理されない可能性があります。むしろ、Web アクセスのためや、マッピング、解析、および共有ワークフローで使用するために、このシステムに接続される可能性があります。

ArcGIS のデータ モデルとルールは、豊富なマッピング、視覚化、および解析機能をサポートするために使用されます。 業界固有のデータ モデルは、ArcGIS のセルフサービス アプリケーション、ツール、およびその他の構成を通じて業界固有のワークフローを実現するためにも、よく使用されます。

リアルタイム フィードおよび IoT フィードは、通常、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムでは提供も管理されませんが、これらのフィードは、マッピング、解析、および共有ワークフローのためにアプリケーション層に組み込まれる場合があります。 リアルタイム データ ストリーミングおよび解析システムの詳細をご参照ください。

サービス (ロジック)

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムのサービス アーキテクチャーに関する検討事項

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムは、多くの場合、ArcGIS がサポートする多くのサービスを有効にします。 視覚化サービスと、大部分のデータおよび解析サービスが完全にサポートされます。 例外としては、データの編集と管理があります。このシステムでも行えますが、通常はデータ編集および管理システムのほうが適切に対処できます。また、ビッグデータ解析サービスやリアルタイム解析サービスについては、通常はビッグデータ解析システムリアルタイム データ ストリーミングおよび解析システムよって提供されます。

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムによって提供される空間解析機能の一部は、位置情報サービス システムによって提供される位置情報サービスに依存します。 これには、ネットワーク解析サービスやジオエンリッチメント サービス (ただし、これらに限定されません) が含まれますが、ユーティリティー サービスとしてセルフサービスのマッピング、解析、および共有システムに統合できます。

セルフサービスのマッピング、解析、共有システムは、ポータル サービスを多用して、ユーザー アクセスや管理、コンテンツの作成、共有、コラボレーション、検索、カタログ化、管理といった機能を強力にサポートし、セルフサービスおよび共有機能を提供します。

ArcGIS REST API は、アプリケーション アクセスのためのシステムへの主要なエンドポイントとして使用されますが、一部のアプリケーションでは、他のサービスベースの API が使用されることもあります。

アプリケーション (プレゼンテーション層)

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムのアプリケーション アーキテクチャーに関する検討事項

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムは、Esri が提供するアプリケーション、アプリ ビルダー、マッピング SDK のフル スイートを活用し、組織全体で驚くほど多様な地理空間ワークフローを可能にし、ほぼすべてのタイプのユーザーに適切なアプリを提供します。

詳細については、上記のアプリケーションのセクションをご参照ください。

サポート

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムは、組織のエンタープライズ全体で幅広いユーザーおよびワークフローをサポートします。ただし、これらのワークフローは、ミッションクリティカルではない傾向があります。 そのため、可用性 SLA やその他の信頼性要件は、多くの場合、このシステムでは他の ArcGIS システムと比べて、あまり厳しくないことが多くあります。

このシステムは、広範なアクセスと使用が可能なため、セキュリティー、パフォーマンス、スケーラビリティーのすべてについて十分に配慮する必要があります。 組織は、セキュリティーおよびデータ共有に関する組織レベルのビジネスおよび IT ガイダンスをレビューして検討し、必要に応じてシステム内にデータおよびアプリケーション レベルのセキュリティー プロトコルを実装する必要があります。

このシステム パターンでは、可観測性が特に重要です。 このシステムの柔軟なセルフサービスの使用はガバナンスから大きな恩恵を受けており、これは、観察を通じて学習した進化する使用パターンおよび実践を認識することで、その効果を最大限に発揮できます。 このシステム パターンを開始する組織は、ガバナンスと変更管理ポリシーを早期に導入することを強くおすすめします。 さらに、コンテンツ、グループ、およびユーザーの継続的なレビューとハウスキーピングを強く推奨し、その大部分は自動化によって有効にできます。

このシステム パターンを使用したコンテンツ作成のセルフサービスの特性により、独自の環境分離変更管理に関する検討事項が必要になる場合があります。

セルフサービスのマッピングや解析ワークフローのためこのシステムに外部データやサービスを組み込んだり、このシステムのマップやその他のコンテンツを企業全体の他のシステムと共有したりするなど、他のシステムとの統合は珍しくありません。

一般的なサポートとアーキテクチャーに関する検討事項については、アーキテクチャーの実践および ArcGIS Well-Architected Framework のアーキテクチャーの柱をご参照ください。

関連するシステム パターン

セルフサービスのマッピング、解析、および共有システムは、ほとんどの組織で GIS を使用するための基盤です。 そのため、このシステムは通常、他の ArcGIS システムと統合されるか、(場合によっては) 他の ArcGIS システム パターンと組み合わされます。 一般的な例を次にいくつか挙げます。

システム パターンを統合または構成する方法の詳細については、システム パターンの使用をご参照ください

このシステム パターンにおける業界固有のシステムとして、次のような例があります。

  • 商業分野。 商業用不動産、金融サービス、および小売部門の組織は、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システム パターンを利用して、ユーザーが独自のマップおよびアプリケーション情報プロダクトを作成し、関係者、他の GIS 専門家、および意思決定者と内部で共有できるようにすることができます。 商業組織は、セルフサービスのマッピング、解析、および共有を使用して、ビジネス上の意思決定を行い、革新を図り、空間認識ビジネス インテリジェンス ツールを活用しています。 セルフサービス マッピングの例として、JLL をご参照ください。
  • 保健福祉サービス。 医療機関や公衆衛生機関の GIS 専門家や研究者は、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システム パターンを利用して、信頼できる地理空間データを活用し、研究課題を探求する情報プロダクトを作成できます。 保健福祉省 (Health and Human Services) は、GIS チームが、公衆衛生に備えるための取り組みとサービスの提供の公平性に関連するダッシュボード、StoryMaps、およびアプリケーションを作成できるようサポートしています。 また、ユーザーが機密性の高いデータを使用して内部でマップやアプリを作成し、その結果をパブリックに共有して、ポリシーや意思決定に情報を提供できるようにすることもあります。 カンザス州の過剰摂取対応戦略チームは、過剰摂取のホット スポットを特定し、リスクのある若者のためのメンターシップ プログラムの実施場所に優先順位を付けることができました。
  • 保険。 保険業者は、空間データを使用してリスクを管理し、保険契約に適切な価格を設定しています。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有システム パターンを利用して、リスクをマッピングし、損害評価をサポートします。 GIS 専門家とデータ アナリストは、請求データ、戦略的アプローチ、レジリエンス計画などのアプリケーションを作成し、それらを内部で関係者やリーダーシップに共有したり、一般公開して顧客のサポート意識を高めたりできます。 保険会社は、空間認識ビジネス インテリジェンス ツールを活用し、解析結果を意思決定者と共有することができます。
  • 中央政府。 国家機関は、社会活動、経済活動、環境活動に関する膨大な量のデータを収集することがよくあります。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有システム パターンを使用して、農業サービス、航空、防衛、およびインテリジェンスをサポートすることを目的とした新しいアプリケーションを作成するようユーザーに促すことができます。 これらのサービスは、土地利用などの位置情報サービスと、国立公園の境界やアクティブな火災のマップなどの信頼できるコンテンツを組み合わせたものです。 中央政府の GIS 専門家は、融資プログラム、公衆衛生情報、火災マップ、選挙などに関する知見を収集できます。 コロンビア共和国の IGAC は、地理データにアクセスするための初の一般公開用国民的ツールを作成したいと考えていました。
  • 天然資源。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有システム パターンにより、石油ガス企業は、共有データリポジトリーを使用して掘削および採取計画をサポートするアプリケーションを作成できるよう、ユーザーをサポートできます。 ユーザーは、日常のワークフローを効率化し、既存のワークフローを改善するマップを作成できます。 天然資源事業のユーザーは、エネルギーおよび規制の管理者、ユーザー、および関係者のために、アプリケーション、StoryMaps、ワークフロー管理プロセス、およびダッシュボードを作成することもできます。 また、天然資源事業の組織は、計画と評価の内容や適合性解析など、解析結果を一般に公開することもあります。 天然資源事業の GIS 専門家は、風力発電所などの独自データと組み合わせて Living Atlas の位置情報サービスにアクセスし、一般の人々への情報提供とプロジェクトのための資金確保を目的とした影響解析マップを作成することができます。
  • 地方自治体。 州と地方の機関は、データを利用して、市民および職員に効果的なサービスを提供しています。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有システム パターンにより、GIS 専門家やデータ アナリストは、信頼できるデータ ライブラリーにアクセスし、アプリケーション内のデータを組み合わせて、コミュニティーに俊敏にサービスを提供できます。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有パターンは、空港、選挙、危機管理、消防・救急、公共安全など、さまざまな機関や部門の GIS ユーザーにサービスを提供する可能性を秘めています。 これらの各機関は、ダッシュボード、StoryMaps、Experience Builder アプリケーション、およびサード パーティー ベンダーとの統合の恩恵を受けています。 さらに、Esri の ArcGIS Solutions は、多くの日常業務の効率を向上させることを目的とした既製のアプリケーションを提供します。 これらのソリューションの多くはローコードまたはノーコードで、ユーザーは非常にすばやく使用を開始できます。 地方自治体の支援例としては、セルフサービスの選挙マッピングとウェイ ファインディングの立ち上げ、住宅供給およびホームレス サービス、都市およびコミュニティー計画コンテンツなどがあります。 このパターンは、法執行機関のように、コンテンツを外部と共有する必要がないものの、画像やベースマップなどのインターネット対応の REST サービスを利用できる組織に最適です。 ニューメキシコ州ラスクルーセスでは、セルフサービス マッピングを使用して、各部門がそれぞれの問題に対処できるようにしています。
  • 通信。 セルフサービスのマッピング、解析、共有システム パターンを使用することで、通信事業者は GIS チームがロケーション インテリジェンスを展開して意思決定のための情報を提供するアプリケーションを作成し、ユーザーが独自のマッピングや顧客データなどの内部位置情報サービスを利用し、境界レイヤーや解析レイヤーと組み合わせて、ユーザーに対する影響とアクセシビリティーの統計を表示できるようにします。 組織は、アクセス マップや作業員分布などの信頼できるデータを使用して、停電時の応答時間をユーザーやコミュニティーと共有できます。 さらに、通信事業者は、Esri ソリューション、ダッシュボード、および Experience Builder アプリケーションを使用して、ネットワーク、運用、保守、販売、計画、およびカスタマー サービスに関する位置解析を活用できます。 CTDOT は、ユーザーがセルフサービス マッピングを介して過去の資産と現在のプロジェクト データにアクセスするのに役立ちます。
  • 公益事業。 公益事業は、セルフサービスのマッピング、解析、および共有システム パターンを使用して、ユーザーや専門家のエンゲージメント システムに通知するマップおよびアプリケーションの作成や、データ管理とモデリングのための専用ツールの作成ができます。 これらのアプリケーションは、資産管理、運用管理、安全性、コンプライアンス、および顧客サービスを目的とした信頼できるデータ レイヤーと、位置情報サービス、画像、ベースマップ、および解析ツールを組み合わせます。 GIS の専門家は、グリッドの最新化、緊急対応、および現場作業を支援するマップおよびアプリケーションを作成します。 セルフサービスのマッピング、解析、および共有パターンは、高度なデータ管理とモデリングをサポートする独自の機能を提供します。 たとえば、パーセル ファブリックまたはユーティリティー ネットワーク データ モデルを使用して、パーセル管理やネットワーク トレースなどの業界固有のワークフローをサポートできます。
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