モバイル操作およびオフライン データ管理システム
モバイル操作およびオフライン データ管理システムでは、あらゆるオンラインおよびオフラインのモバイル使用シナリオを実現できます。 これには、ネイティブ アプリケーション、モバイル データベース、および Web ベースのデータ同期技術を使用したフィールド データの収集、編集、操作のユース ケースが含まれます。 このパターンは、モバイル ユーザーがネイティブ デバイス上でデータとマップをオフラインにして、現場で状況認識、ナビゲーション、意思決定支援を行う非編集シナリオにも使用できます。 また、このパターンは、車両ナビゲーションなどの埋め込みアプリケーションでのマップのオフライン使用にも対応しています。 モバイル操作およびオフライン データ管理システムを使用すると、組織は、接続が切断または制限された環境で作業しているモバイル作業者が地理空間データとマップをパッケージ化、セキュリティー保護、編集、同期する方法を管理できるようになります。 また、このパターンでは、GIS 専門家は、デスクトップ アプリケーション ArcGIS Pro を使用して、表示や編集などの作業をオフラインで実行することもできます。
モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンは、次のようなさまざまな特性から組織に価値をもたらします。
- データ品質管理、ワークフローベースの活動、厳密な権限、競合管理など、標準化された編集ワークフローをオフィスから現場に持ち込むことで、ネットワーク接続の有無に関係なくモバイル作業者が効果的に作業できるようにする。
- 紙媒体のプロセスへの依存を少なくするか、紙媒体のプロセスをオフラインのデジタル コンテンツとスマートかつ論理的なデジタル データ収集に置き換える。
- 局所的な観点と正確性をデータ収集に取り入れ、自分のデータを現場のユーザーに直接届けることで、位置情報をモバイル操作で最大限に活用する。
- 視覚情報に富んだダッシュボードを通じて、現場作業の様子と進行状況をリアルタイムで一元的に監視する。
- すべてのネットワークから切断された現場で GIS 専門家がデスクトップ ツールを操作できるようにする。
ArcGIS システム パターンを初めて使用する場合は、まずイントロダクションを確認してください。
ユーザー ペルソナとワークフロー
モバイル操作およびオフライン データ管理システムを最もよく操作するユーザー ペルソナと、このシステムを使用して通常実行するワークフローとタスクの種類を次に示します。
- モバイル作業者。 モバイル作業者は、現場で作業するユーザーであり、通常はモバイル デバイスを携帯しています。 実行する作業には、収集、検査、探索、対象を絞ったその他の運用タスクがあります。 各モバイル作業者の IT および GIS 能力のレベルや現場作業前のトレーニングのレベルには差があります。 現場作業は、完全にオフラインの状態や完全に切断された状況など、さまざまなネットワーク接続レベルで行われる場合もあります。
- フィールド マネージャー。 フィールド マネージャーは、モバイル作業者が実行する作業を計画、調整、管理します。 これには、現場作業の実行前の作業計画と作業割り当て、現場作業の実行中の監視と調整、現場作業の実行後の報告と共同作業などがあります。 フィールド マネージャーは通常、ネットワーク接続を使用してオフィスで作業しますが、モバイル作業者と一緒に現場で作業することもあります。
- データ所有者。 データ所有者は、オフライン ワークフローで使用、編集、管理されているデータセットに対して責任を負います。 データ所有者は通常、データ モデリング、品質管理、ガバナンスなど、データ管理の設計面と監視面に関与します。
- データ管理者。 データ管理者は通常、オフライン ワークフローで使用、編集、管理されているデータの日々の管理を担当します。 一般的なワークフローと活動には、データの読み込み/インポート、データ編集の確認と検証、データ編集の監査、編集ワークフローの構造化と管理などがあります。
- GIS 専門家。 GIS 専門家はモバイル作業者とよく似た役割を果たしますが、モバイル デバイス上で対象を絞ったタスクを実行するのではなく、GIS 専門家向けに設計されたデスクトップ アプリケーションである ArcGIS Pro を使用し、Windows ベースのラップトップまたはデスクトップ コンピューター上で作業します。 このシステム パターンは、GIS 専門家がオフラインで作業しており、ネットワーク接続なしでより高度な GIS 作業を実行している場合に適用されます。 GIS 専門家は、高度な空間データ設計や管理サポートが必要な場合には、データ所有者およびデータ管理者と一緒に作業することもあります。
アプリケーション
ArcGIS には多くのアプリケーションとエクスペリエンスが用意されていますが、通常は 1 つのサブセットだけがモバイル操作およびオフライン データ管理システムの一部として使用されます。 上記のペルソナがモバイル操作およびオフライン データ管理システムとインターフェイスするために最もよく使用するアプリケーションを次に示します。
- ArcGIS Field Maps は、Android、iOS、watchOS、および Windows デバイスで利用できるオールインワンのモバイル アプリケーションです。 モバイル操作およびオフライン データ管理システムでは、ArcGIS Field Maps は、ネットワーク接続の有無にかかわらず現場で通常実行されるマップ中心のデータ収集によく使用されます。 オフライン (非接続) のデータ収集については、下記の検討事項をご参照ください。
- ArcGIS Survey123 は、Web デバイスおよびモバイル デバイス向けのフォーム中心のデータ収集ソリューションです。 モバイル操作およびオフライン データ管理システムでは、ArcGIS Survey123 は、ネットワーク接続の有無にかかわらずネイティブ モバイル デバイス上で実行されるフォーム中心のデータ収集によく使用されます。
- ArcGIS QuickCapture は、Esri の高速データ収集モバイル アプリです。 モバイル デバイスとのやり取りを最小限に抑える必要がある迅速なフィールド データ収集ワークフローをサポートするように特別に設計されたユーザー エクスペリエンスを備えています。 Field Maps や Survey123 と同様に、オフライン/オンライン作業、位置情報の共有、マッピング、データ収集をサポートしています。
- その他のネイティブ モバイル アプリケーションは、現場でさまざまなワークフローをサポートするためにモバイル操作およびオフライン データ管理システムでよく使用されます。 これらのアプリケーションとして、高度なナビゲーションとルート検索に使用する ArcGIS Navigator、現場チームの調整に使用する ArcGIS Workforce、屋内マップの表示と操作に使用する ArcGIS Indoors Mobile があります。
- ArcGIS Pro は、GIS 専門家がさまざまなユース ケースで使用するデスクトップ アプリケーションです。 モバイル操作およびオフライン データ管理システムでは、ArcGIS Pro は通常、接続性が制限されているか、接続されていない状況で高度な地理空間作業をしたり、バックオフィスのデータ管理作業をしたりするために、GIS 専門家や組織内で専門家の役割を持つ他のユーザーが使用します。
- ポータル Web サイトは、ArcGIS システムへの一般的な Web インターフェイスであり、閲覧者、編集者、作成者、専門家、管理者のさまざまなユース ケースをサポートしています。 モバイル操作およびオフライン データ管理システムでは、ポータル Web サイトは通常、オフライン データおよびマップ コンテンツ管理ワークフローをサポートしています。 また、ポータル Web サイトでは、共有された位置の追跡を表示および管理するために Track Viewer Web アプリケーションも公開されています。
- その他の Web、モバイル、およびデスクトップ アプリケーションとアプリケーション ビルダーは、ネットワークに接続している時に実行される表示、レポート、その他の活動によく使用されます。 これには、ArcGIS Instant Apps、ArcGIS Dashboards、ArcGIS Story Maps、ArcGIS Experience Builder などがあります。 これらのアプリケーションは通常、他のシステム パターンから提供され、モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンと統合されているか、組み合わされています。 関連するシステム パターンの詳細をご覧ください。
- マッピング API と SDK で構築されたカスタム アプリケーション。
ArcGIS が提供するすべてのアプリケーションの詳細については、ArcGIS の概要のアプリケーション アーキテクチャーをご参照ください。
機能
モバイル操作およびオフライン データ管理システムに備わっている主な機能を以下で紹介します。これらの機能には、一般的な機能と、業界固有の機能およびソリューションの両方があります。
次に示されたすべての機能をすべてのデプロイメント パターンで使用できるわけではありません。 これらの機能がさまざまなデプロイメント コンテキストでどのように適用されるか (または適用されないか) の詳細については、デプロイメント パターンの選択とデプロイメント パターンに関するページをご参照ください。
一般的な機能
- オフライン データとマップを使用すると、データとマップをオフラインにして、ネットワーク接続なしで使用できます。 この機能は、モバイル デバイス上のデータを準備、読み込み、更新、管理する複数のメカニズムをサポートしています。 ここに示された他の機能を含むさまざまな方法で、オフライン状態のデータとマップを使用できます。 オフライン アプリケーションと、データとマップをオフラインにするオプションの詳細をご覧ください。
- マッピングと視覚化を使用すると、ユーザーは 2D マップと 3D シーンを作成したり操作したりできます。 これには、データ主導の視覚化、3D 視覚化、ベースマップのスタイル設定があります。 マップと視覚化の詳細をご覧ください。
- ベースマップは、マップとシーンの全体的な表示コンテキストを提供する Web ベースのレイヤーです。 ベースマップのタイプには、ベクター タイル ベースマップ、画像タイル ベースマップ、マルチレイヤー ベースマップなど、さまざまなものがあります。 ベースマップ サービスは通常、位置情報サービス システムによって提供されますが、このシステムでベースマップをオフラインで利用できるようにするには、特別な検討事項が必要になります。 ベースマップ レイヤーの詳細をご覧ください。
- ジオコーディングは、テキストを住所と位置に変換するプロセスです。 ジオコーディングでは、住所の検索 (ジオコーディング)、リバース ジオコーディング、一致する候補の検索、候補の取得、およびバッチ ジオコーディングを実行できます。 ジオコーディング サービスは通常、位置情報サービス システムによって提供されますが、このシステムでジオコーディングをオフラインで利用できるようにするには、特別な検討事項が必要になります。 ジオコーディングの詳細をご覧ください。
- ルートとルート案内では、個々の車両または単一の車両の出発地から目的地までの最適なパスを見つけることができます。 この機能はシンプルなルート検索とも呼ばれ、制限速度、車線数、時刻など、道路ネットワークのさまざまなデータ パラメーターを考慮します。 この機能では、ルート案内を生成することもできます。 ルートとルート案内サービスは通常、位置情報サービス システムによって提供されますが、このシステムでルートとルート案内をオフラインで利用できるようにするには、特別な検討事項が必要になります。 ルートとルート案内の詳細をご覧ください。
- 作業の割り当てとディスパッチでは、適切な作業者が適切なツールを持って適切な場所に出向き、適切な仕事ができるようにします。 ArcGIS Workforce で作業の割り当てとディスパッチを行うと、現場とバック オフィス全体で共通のビューが表示されるため、効率的にモバイル操作を実行できるようになります。 作業の割り当てとディスパッチは、ArcGIS Survey123 の受信トレイ機能を使用して実行することもできます。
- 位置情報の共有を使用すると、組織は、モバイル作業者の現在地と過去の位置を記録できます。 現在地と過去の位置はトラックとして格納されているので、管理者は表示したり、必要に応じて共有したりできます。 ArcGIS モバイル アプリはバックグラウンドで位置情報を共有できるように最適化されているため、デバイスのバッテリーへの影響が最小限に抑えられます。
- データ編集では、ジオメトリーや属性などのリレーショナル データをサービスベースで編集できます。 この機能は、フォームやマップを使用した単純なデータ収集ワークフローもサポートしています。 モバイル操作およびオフライン データ管理システムでのデータ編集は、ネットワーク接続の有無にかかわらず実行されるように設計されています。 オフラインでデータを編集する方法の詳細をご覧ください。
- データのインポートとエクスポートでは、データを一括でインポートまたはエクスポートできます。 また、データのインポートに使用できるデータ パイプラインは、一部のデプロイメント パターン用のオプションです。
- データの相互運用性と変換では、ArcGIS Data Interoperability に備わっている視覚的な設計およびプログラミング インターフェイスを使用して、数百のシステム間とアプリ間でデータを移動させることができます。 また、データ パイプラインは、一部のデプロイメント パターン用のオプションです。
- 編集の追跡と監査では、編集情報の記録を使用して、データの挿入または更新に関する情報を自動的に記録します。 オフライン編集の場合、編集内容は、マップをオフラインで取得したユーザーに関連付けられます。
- ショート トランザクション管理では、データベース トランザクション モデルを活用して、データの複数のバージョンを管理せずに、原子性、一貫性、分離性、永続性 (ACID) トランザクションを実行できます。 詳細については、バージョン非対応のデータ管理をご参照ください。
- ロング トランザクション管理では、データベースの複数の状態 (バージョン) を同時に存在させることで、データベース トランザクション モデルを拡張します。 この機能は、競合の検出とリコンサイルもサポートしています。 バージョニングによるロング トランザクションのサポートは、モバイル デバイス上でオフラインで実行されている個々のデータベースではなく、エンタープライズ データベースで処理されます。 詳細については、バージョン対応のデータ管理をご参照ください。
- 空間ルールと属性ルールでは、属性ルールを使用して、編集の操作性を強化し、地理空間データの整合性を向上させます。 ルールはオフライン データに含まれず、データがバックオフィス システムと同期された時点で適用されます。
- データ配布とレプリケーションでは、管理者ユーザーは、レプリケーションとその他のメカニズムを使用してデータを配布できます。
- データのアーカイブと履歴では、アーカイブを使用して、データの変更をキャプチャーして管理し、経時的に解析することができます。
- 高度なデータ検証では、ArcGIS Data Reviewer を使用して、データ品質管理ワークフローを簡素化、改善、自動化します。
- ワークフローの管理と自動化では、ArcGIS Workflow Manager を使用して、チーム全体の作業を調整および自動化します。
- ホストされた Python ノートブックでは、システムでホストおよび提供されている ArcGIS Notebooks を使用して、Python ベースの解析、管理、自動化を組み込みます。
業界固有の機能とソリューション
- パーセル管理では、ArcGIS Parcel Fabric を使用して、階層とサブサーフェスの情報、所有権レコード、農業と天然資源の権利など、3D と 4D のパーセル データを管理できます。 パーセル ファブリック データは、このパターンの一部として、表示ワークフローと編集ワークフローでオフラインにすることができます。
- 一般道路と高速道路では、ArcGIS Roads and Highways を使用して、計測ベースの位置と関連データの編集および管理ワークフローを運輸業界に提供します。 ArcGIS Roads and Highways は、このパターンを使用したオフライン イベント データの収集と編集をサポートしています。
- パイプライン参照では、ArcGIS Pipeline Referencing を使用して、計測ベースの位置と関連するデータの編集および管理ワークフローをパイプライン業界に提供します。 ArcGIS Pipeline Referencing は、このパターンを使用したオフライン イベント データの収集と編集をサポートしています。
- 屋内 GIS では、ArcGIS Indoors を使用して、ソース CAD、BIM、リアリティー キャプチャー データを組み合わせて 1 つの地理空間記録システムを作成します。 ArcGIS Indoors を使用すると、組織は屋内 GIS を構築し、屋内マッピング、ウェイファインディング、空間管理ソフトウェアの機能をすべてのユーザーに提供することができます。 ArcGIS Indoors Mobile は、iOS および Android 用のネイティブ モバイル アプリケーションであり、対象ポイントの探索、検索、保存、共有、屋内対象物に関連するインシデントの報告、ランドマークベースのルート案内の取得など、さまざまな方法で屋内マップを表示および操作できます。 ArcGIS Indoors Mobile では、屋内測位システム (IPS) が使用できるため、建物内部のリアルタイムの位置を表示して屋内空間を探索できます。 ArcGIS Indoors Mobile の詳細をご覧ください。
- 屋内測位を使用すると、建物内で自分と他人をリアルタイムで見つけることができます。 GPS と同様に、屋内測位システム (IPS) では、屋内マップ上に青い点が配置されるため、位置情報サービスを使用して、対象ポイントや目的地にナビゲートできます。 ArcGIS IPS の詳細をご覧ください。
- その他の業界ソリューションでは、ArcGIS Solutions を使用して、業界固有の構成を迅速にデプロイできます。
アーキテクチャーに関する検討事項
モバイル操作およびオフライン データ管理システムは、ArcGIS を使用して構築されます。 このセクションでは、モバイル操作およびオフライン データ管理システムが ArcGIS アーキテクチャーの特定の側面とどのように連携し、特定の側面にどのように焦点を当てるかを詳しく説明します。
アーキテクチャーに関する詳細な検討事項については、デプロイメント パターンの選択をご参照ください。
データ (永続性)

モバイル操作およびオフライン データ管理システムは、主にリレーショナルデータベースに格納されたリレーショナル空間データを処理します。 このシステム パターンでは、データの使用と編集の大部分は、モバイル データベースに対してモバイル デバイス上で実行されます。 高度な空間オブジェクト、ルール、リレーションシップを使用できますが、すべての機能がモバイル デバイスでサポートされているわけではなく、すべてのデプロイメント パターンでサポートされているわけでもありません。 業界データ モデルもよく使用されますが、より高度な業界固有の機能とワークフローをサポートするには、サービスとアプリケーションをさらに追加する必要があります。 詳細については、業界固有の機能とソリューションをご参照ください。
サービス (ロジック)

サービス層またはロジック層では、編集、表示、レポート、およびデータ管理ワークフローでデータ サービスと視覚化サービスが多用されます。 このシステム パターンで使用されるこれらのサービスの主な側面は、ネットワーク接続なしでデータとマップをオフラインにして操作する機能です。 データとマップは、いくつかの方法でオフラインにできます。
- オフライン データは、フィーチャまたはタイルとしてデータ サービスからダウンロードできるだけでなく、パッケージなどのデータ ファイルからサイドロードまたはダウンロードすることもできます。 データ サービスまたはファイルをオフラインで使用する方法の詳細をご覧ください。
- オフライン マップは、モバイル パッケージまたは Web マップを使用してオフラインで取得できます。 モバイル パッケージは ArcGIS Pro で作成され、デバイスにサイドロードまたはダウンロードできます。 モバイル パッケージは編集をサポートしていませんが、完全に対話型のマップとシーン、詳細なジオコーディング、ルートとルート案内などをサポートしています。 モバイル パッケージの詳細をご覧ください。
- オフライン Web マップは、ArcGIS システムからダウンロードされた Web マップであり、モバイル デバイス上でローカルに実行されます。 オフライン Web マップは、オンデマンドまたは事前にダウンロードできます。 オンデマンド アプローチでは、オフライン アプリケーションは Web マップのカスタム地理範囲をオフライン マップとしてリクエストします。 この地理範囲のオフライン マップが生成されてダウンロードされます。 事前アプローチでは、Web マップの所有者は最初に、オフライン マップとしてパッケージ化する Web マップの地理範囲を定義します。 これで、これらのオフライン マップをアプリケーションがオフラインで使用できるようになります。 オフライン Web マップの詳細をご覧ください。
空間解析サービスと画像解析サービスは、モバイル データの編集および管理ワークフローを補完するために使用できますが、解析の多用は通常、より解析に重点を置いた他のシステム パターンでサポートされています。
ポータル サービスはすべて、通常の編集、表示、レポート、およびデータ管理ワークフローの一部として使用されます。 これは特にユーザー アクセスと管理に当てはまり、ユーザー ID が確立され、データ アクセス制御とユーザー権限の両方が一元管理され、システム全体に適用されるようになります。 また、コンテンツの検出、共有、コラボレーションは、モバイル作業者が自分の仕事に適したマップとデータを使っていることを確認し、共有された編集ワークフローや関連する編集ワークフローで共同作業している編集者のチームを支援する目的によく使用されます。 コンテンツの作成、カタログ化、管理も実行されますが、ほとんどのエンド ユーザーは編集に重点を置いたワークフローの一部として特定のコンテンツとデータセットを直接操作しているため、主に内部で実行されます。
ArcGIS REST API は、ネットワークに接続されている場合のアプリケーション アクセスのためのシステムへの主要なエンドポイントとして使用されますが、一部のアプリケーションでは、他のサービスベースの API が使用されることもあります。 一部のデータ管理と管理ワークフローでは、デスクトップ アプリケーションを使用してデータ層に直接アクセスすることがありますが、最新のモバイル操作およびオフライン データ管理システムでは、このような状況はあまり一般的ではありません。
アプリケーション (プレゼンテーション層)

アプリケーション層またはプレゼンテーション層には、ユーザーによる編集、表示、レポート、およびデータ管理のためのアプリケーションが含まれます。 これには、主にネイティブ モバイル アプリケーションや、プロフェッショナルな GIS デスクトップ アプリケーション ArcGIS Pro があります。これらのアプリケーションは、ローカルに格納されて管理されているデータをオフラインで処理できます。 ArcGIS Maps SDK を使用して構築されたカスタムのモバイル アプリケーションやデスクトップ アプリケーションも一般的です。
Web アプリケーションは、インターネット接続のあるバックオフィス ワークフローでよく使用されますが、オフライン データの操作はサポートされていません。 没入型エクスペリエンスは、モバイル操作およびオフライン データ管理システムではあまり使用されません。
ArcGIS でデータをオフラインにするには複数のアプローチがありますが、これらのアプローチをサポートする方法はアプリケーションによって異なります。 製品ドキュメントを詳細に確認し、オフライン データ管理をサポートすることを目的としたシステムを設計する際には、アプリケーション アーキテクチャーを考慮してください。
詳細については、上記のアプリケーションのセクションをご参照ください。
サポート
モバイル操作およびオフライン データ管理システムは、データの編集、保守、管理でビジネスに不可欠なモバイル ワークフローとミッション クリティカルなモバイル ワークフローをサポートするためによく使用されます。 したがって、これらのシステムは多くの場合、厳密なサポート プラクティスとインフラストラクチャーを必要としており、高い信頼性、セキュリティー、可観測性、パフォーマンス、およびスケーラビリティーを念頭に置いて設計および運用されることがあります。 これらのアーキテクチャーの柱に関する特別な検討事項は、モバイル デバイスでのデータの暗号化など、モバイル デバイスにも適用される場合があります。 ArcGIS セキュア モバイルの実装パターンの詳細をご覧ください。
通常、このシステムで管理されている空間データは、密結合されているか、別の情報システムで管理されているデータに関連付けられています。 たとえば、組織の資産をエンタープライズ資産管理 (EAM) システムで管理し、このシステムを組み合わせて使用し、現場の場所を収集して管理することができます。 モバイル デバイス管理 (MDM) システムやモバイル アプリケーション管理 (MAM) システムとの統合も一般的です。 システム統合の詳細については、ArcGIS Well-Architected Framework の統合の柱をご参照ください。
一般的なサポートとアーキテクチャーに関する検討事項については、アーキテクチャーの実践および ArcGIS Well-Architected Framework のアーキテクチャーの柱をご参照ください。
関連するシステム パターン
モバイル操作およびオフライン データ管理システムは、他の ArcGIS システム パターンと統合または組み合わせることができます。 一般的な例を次にいくつか挙げます。
システム パターンを統合または構成する方法の詳細については、システム パターンの使用をご参照ください
例
このシステム パターンにおける業界固有のシステムとして、次のような例があります。
- 公益事業: モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンは、すべての種類の公益事業 (電気、ガス、水道) の基盤です。 公益事業は、モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンを使用して、資産検査システムの実装、損害評価、植生管理、顧客調査、メーター テストなどを実行しています。 また、このシステム パターンは、エンタープライズ アプリケーションのホスティングおよび管理やセルフサービスのマッピングなど、他のシステム パターンと組み合わせて使用されます。 Arizona Public Service は、モバイル植生管理アプリケーションを使用して、植生の検査、処理、トリミング、監査、およびレポートをサポートしています。 モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンは、オクラホマ州のいくつかの都市で、水道、下水道、雨水、洪水、および緊急管理のニーズに応えるために使用されています。
- 交通: GIS を現場に持ち込むことにより、モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンを使用して、現場のスタッフの効率を上げることができます。 たとえば、OmniTRAX は、鉄道資産の資産検証と監査を目的として、モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンを使用しました。もう 1 つの例は、ハーツフィールド ジャクソン アトランタ国際空港であり、空港全体のさまざまなエアサイド検査業務を支援するために、このシステム パターンを広く採用しています。
- 地方自治体: モバイル操作およびオフライン データ管理システム パターンは地方自治体の組織で一般に使用されています。 このシステム パターンを使用すると、通常、紙のフォームが削減または排除されるため、効率が向上します。 たとえば、カンザス州ローレンス市は、場所や危険など、歩道の状態に関する正確な情報を収集するために、ArcGIS Survey123 を使用しました。 カンザス州バトラー郡は、評価を行うスタッフを支援するために、ArcGIS Field Maps を使用しました。 どちらの例でも、収集されたフィールド データはダッシュボードにシームレスに供給され、今後の監視とレポートの対象となります。